

2016年に成立した「カジノ法案」。現在では、カジノを誘致するために全国の各自治体が動いていますが、今後はどうなっていくのでしょうか?
カジノに興味がある人は、どこの地域がカジノを誘致しているのか、そもそもカジノ法案とはどのようなものなのか、押さえておくと良いでしょう。
ここからは日本のカジノについて、有力候補地や今後の展望について紹介します。
日本でカジノができるようになる?
日本ではそもそも「賭博法」という法律があり、公営ギャンブル以外のギャンブルは違法とされています。例えば、人気があるオンラインカジノでも日本で運営されているものは違法になります。
海外で運営されているオンラインカジノは、日本の法律の対象外なのでセーフということです。 そこで、2016年に成立した「統合型リゾート(IR)整備推進法案」、通称「カジノ法案」により日本でもカジノが解禁になりました。
しかし、重要なことは「カジノであれば何でもOK」というわけではないことです。 あくまでもカジノ法案はリゾート地を開発するのが目的の法律です。
つまり、リゾート地(カジノ法案の対象)以外でカジノは開けないということになります。 日本ではカジノ法案が成立しても、リゾート地ができないとカジノはできないのです。
日本のカジノ有力候補地5選!IR誘致に向けた各都市の動きを紹介
IR誘致に力を入れている有力候補地は以下の5つです。
- 神奈川|横浜
- 大阪|夢州(ゆめしま)
- 長崎|佐世保
- 和歌山|マリーナシティ
- 愛知|名古屋・常滑
では、各地域にはどのような特徴があるのか紹介します。
神奈川|横浜
神奈川県は繁華街がある横浜が候補地になっています。横浜市は広いですが、カジノの誘致に向けて動いているのは、「山下ふ頭」です。山下ふ頭は横浜中華街や赤レンガ倉庫の近辺といえばイメージしやすいでしょう。
横浜であれば、都心からも近く、羽田空港からも近いのでアクセスは良好です。
現状では2020年代後半にIR開業を目指すことを公表していました。ただし、2021年現在のコロナウィルスの状況を考えると、スケジュールは遅れると考えられます。
神奈川|横浜が立候補した経緯
横浜がIR誘致の有力候補となっているのは、政府からの強い推薦があるからです。観光地としても賑わっている地域ということから、国内だけでなく海外からも注目されています。
神奈川|横浜でのカジノ誘致最新情報
横浜は2019年8月にIR誘致を正式に発表し、2020年代後半の開業を目指していました。横浜はカジノの誘致の有力地であり、海外事業者の中にも動きがあります。
ラスベガス・サンズ、メルコリゾーツ、ウィンリゾーツなどが大阪から横浜に転向する動きを見せており、国内の中でも圧倒的な注目を集めています。
神奈川|横浜でのカジノ誘致に関する地元評価は?
実は内部では対立が起こっているので、一筋縄では行っていない状況なのです。山下ふ頭は横浜のシンボルで、観光客に親しまれている存在であるため、IR誘致によって再開発の効果を高めようという動きが強いです。
しかし、地元民や横浜の有力者である横浜港運協会会長は断固として反対しています。実際に地元企業団や地元民からの反発は根強く残っていて、「カジノなしの再開発」を臨んでいます。
大阪|夢州(ゆめしま)
横浜と同じようにIR誘致の有力候補地なのが大阪府です。実際に大阪はカジノ法案が取り上げられるようになった当初から、IRの開業候補地として名乗りを挙げていた自治体です。 大阪府はIR誘致と万博をセットで考えてきており、2025年の万博開催地として選出されています。
夢洲はIR誘致場所としてだけでなく、万博の開催地にもなっています。
現在では、工業地帯としての印象が強く、土地が無駄に余っているような場所です。しかし、近くにはUSJなどもあるので、総合エンターテイメントとして盛り上がりが期待されています。
大阪|夢州が立候補した経緯
夢洲は大阪湾にある人工島であり、現在では広大な土地が余っている状態です。というのも、元々オリンピックの誘致をした際に競技場・選手村などに利用する計画でしたが、誘致に失敗したため、その後の活用方法が悩まれて板のです。
大阪府は環境に優しく快適に過ごせる都市を目指しており、未来都市のようなイメージで万博・IRを進めています。
大阪|夢州でのカジノ誘致最新情報
大阪でのIR誘致は順調に進むと思われていましたが、横浜が誘致を表明したことにより、多くの事業者が横浜に転向し、MGMリゾーツ・オリックス合同チームのみとなっております。 現状では夢洲への交通手段は自動車だけに限られています。
万博前の2024年までに開業できるのか?交通インフラを整備できるのか?というのが大阪IR誘致の課題になっています。
大阪|夢州でのカジノ誘致に関する地元評価は?
夢洲は土地が有効活用されないままの期間が長かったため、「負の遺産」としてのイメージが大きかったため、IR誘致と大阪万博開催により経済が活性化すると期待されています。
長崎|佐世保
長崎は佐世保が有力な候補地になっています。テーマパークであるハウステンボスがある場所が誘致の候補になっており、海外からの観光客を増やす効果が期待されています。
実際に中国や韓国からは3時間前後でアクセスできる距離であり、アジア地域の観光客を獲得できるため、IR誘致に有力な立地と考えられています。
長崎|佐世保が立候補した経緯
ハウステンボスは、東京ディズニーリゾートの1.5倍の土地があり、その一部をIR誘致に利用しようという考え方で進んでいます。既にリゾート地としてのインフラが整備されており、運営実績もあるため初期投資が少なくて済むメリットがあります。
長崎|佐世保でのカジノ誘致最新情報
立地などの条件を考えると非常に有力な地域ですが、九州の各観光地へのアクセスの整備が不十分であることが課題となっています。
また、シンガポールやマカオという、アジアの大型のIR地がある中で、佐世保のカジノ誘致が成功するのか不安視する見方もあります。
IR誘致に成功した場合は、カジノを含めた総合的なリゾート開発を考える必要があります。アジア圏内の他のリゾート地に負けないインパクトがなければ、上手く観光客を呼べない危険性もあるでしょう。
長崎|佐世保でのカジノ誘致に関する地元評価は?
カジノ誘致に関しては、地元住民の反対する場合が多いですが、佐世保では賛成派が反対派を上回っており、IR誘致を後押ししています。しかし、ハウステンボスの運営会社がIRの開発に関わらないことを考えると、実現は少し難しいという見方が強いです。
和歌山|マリーナシティ
関西では大阪だけでなく和歌山も立候補しています。和歌山にある人工島が「マリーナシティ」がIRの候補地として立候補しており、IR誘致の有力株でもあります。
和歌山|マリーナシティが立候補した経緯
和歌山県は以前からカジノ誘致に積極的であり、力を入れている自治体です。実際に2004年ごろからIR誘致に取り組んでいます。 IR誘致に積極的であるものの、IR候補地として最も有力である大阪が近隣にあることから、規模や経済効果的は劣ると考えられているのが現状です。
既にマリーナシティにはリゾート地としてのインフラが完成しているので、ハウステンボスと同様に初期費用が少なくて済むのも大きなメリットです。
また、関西国際空港から車で45分というアクセスも良い評価に繋がっていきます。
和歌山|マリーナシティでのカジノ誘致最新情報
大阪と合わせたIR誘致を狙っていく考え方が強まっています。世界的にはシンガポールなどIR地が近接している事例もあり、相乗効果があると期待されています。その成果もあってか、さまざまなIR事業者からも好感触です。
和歌山|マリーナシティでのカジノ誘致に関する地元評価は?
和歌山のカジノ誘致に関しては、地元民の評判は芳しくありません。最も大きな懸念点は、カジノを誘致することで、現状の観光基盤が崩れることです。
もちろん、カジノ誘致によって観光業が発展することも考えられていますが、マイナス面が強いという見方が強いです。
実際に和歌山のゆったりとした雰囲気の観光地にカジノは似合わないのかもしれません。
愛知|名古屋・常滑
愛知県は名古屋と常滑がIR候補地として名乗りを挙げていますが、愛知県は常滑を推しており、名古屋市と対立しています。
愛知|名古屋・常滑が立候補した経緯
愛知県は常滑市にある「中部国際空港」への誘致を検討しており、県と地元の常滑商工会議所が誘致に向けて動いています。以前誘致が中断を余儀なくされた経緯があり、カジノ誘致に向けて力を入れています。
それに対して、名古屋市は市内への誘致を主張しています。大阪・東京の中間に位置し、常滑よりもアクセスが良いということで有力な候補地として名乗りを挙げています。
愛知|名古屋・常滑でのカジノ誘致最新情報
現状は常滑(愛知県)と名古屋市が対立していますが、それぞれ課題を抱えています。常滑は空港から直接アクセスでき、カジノ誘致による治安悪化の影響が少ないことがメリットです。
しかし、常滑にカジノを誘致した場合、既に混雑している島や周辺地域がさらに混雑し、交通状況が悪化することが懸念されています。
名古屋市は名古屋港周辺を候補地として考えていますが、具体的な誘致場所に関しては絞り込めていないため、他の候補地と比較すると一歩でスタートが遅れています。
愛知|名古屋・常滑でのカジノ誘致に関する地元評価は?
愛知県のカジノ誘致に関しては、特に名古屋市は反対意見が多いのが特徴です。都市の中心部にカジノを誘致することにより、治安悪化を懸念している状況です。
やはり、IR事業には地元住民や団体などの反対の声が、大きく影響しています。